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セブセブ。

眠い。中途半端かも。

これは、何かの報いなのか。

裏切り続けてきた私の。

与えられた罰なのか。

『もし、ドラコがわしを殺さねばならなくなったときは、

 セブルス、お主がわしを殺すのじゃ』


闇の魔法に傾倒し、道を踏み外した私を
もう一度やり直させてくれた、ダンブルドアを。
敬愛していた、信じていた、信頼してくれた、彼を。
どうして殺すことなど出来るだろう?

『生徒に人殺しをさせるわけにはいかんのじゃ』

私とて!
わたしとて、あなたの「生徒」であったのに。

『お主の「誓い」もあるしの』

『頼むぞ、セブルス』

強引に。
ダンブルドアは強引に話を終わらせた。
私の強がった嫌味など聞かなかったかのように。
いや、ちがうな。
ハリーに聞かせたくなかったのだろう。
こんな、話など。
退室する途中の階段ですれ違う。
年々、いや日に日に、ハリーは奴に似てくる。
目は、変らずリリーの目をしているのに。
責めるようにこちらを睨んでくる。
思わず、目をそらした。

私は、リリーに憧れていた。
しかし同時に奴にも憧れていたのだ。
明るく、人望があり、何事にも優れていた彼。
彼の周りを人が取り囲み、皆が笑顔だった。
憧れていた。
純血だから、あのように振舞えるのか。
そんなことを、何度も考えた。
彼のようになりたい。
彼が羨ましい。
そう思う気持ちは、いつしか捻じ曲がり、
暗い感情へと変化してしまったのだ。
憎い、と。
そう思ったのはいつだろう。
リリーが、笑いかけてくれなくなったときだろうか。
彼への憎しみの交ざった憧れ。
リリーを慕う気持ち。
それを必死に忘れようと。
必死に、一心に、私は闇の魔術へ傾倒していった。

これは、報いなのだろうか。
警戒した表情のハリーを仕草で黙らせて、
ゆっくりと階段を上ってゆく。
まるで死刑囚であるかのように。

(これから殺すのは私なのに)

今にも泣き出して、杖を下ろしてしまいそうな
ドラコの肩に手を置いて。
ベラトリックスが甲高い声で何かをわめいた。

月を背にしたダンブルドアは、酷く神々しかった。

堕ちてゆく。
自分は、また。
闇へ堕ちてゆく。

「頼む」

と、ダンブルドアの口が動いた。
覚悟は出来ていた。
感情の整理もつけてきた。
心は、不自然に平静だ。

(リリー・・・)

思わず、彼女の名を呟き、
ナルシッサの白い手を思い出し、

わたしは 呪文を 言った。



ゆっくりと 

私に見せ付けるかのように ゆっくりと

ダンブルドアは 崩れ落ちた。



これは 何かの報いだろうか?




ドラコの肩に置いた片手で、彼が震えているのに気付く。
無理もない。
この年齢では、人が死に逝く場面など見たことがないだろう。
それも、殺されて、死にゆく、など。
肩に乗せた手に力を入れた。
何の意図があったわけではなかったが。

(これでダンブルドアの願いは叶えられた)

そう思うと、少しは救われるような気がした。
もちろん錯覚だが。
ベラトリックスが印を空へ打ち上げる。
懐かしい印。
もう、見ることはないと思っていたのに。
「例のあの人」は復活し、
ダンブルドアは死んだ。
皮肉な事に、信頼していた二重スパイが原因で。

様々なものを破壊しながら逃走する。
あぁ、逃走とは言わないのかもしれない。
今の「私」にしてみれば凱旋、なのかもしれない。

ハリーが追いかけてくる。
ダンブルドアを殺した私を。
裏切り者を。
追いかけてくる。
彼は正義だから。

「待て!」

あぁ、声すらも奴に似てきた。
攻撃を跳ね返して振り返る。
汚れた頬。
乱れた髪が、本人を目の前にしたような錯覚を生む。


「待て!戦え、臆病者」

聞いたことがあるようなセリフ。
遠い昔。
ジェームズの声で。

「セクタセンブラ」

ジェームズの声で、私の考えた呪文を叫ぶ。

「先に行け」

とドラコの背を押し、
倒れたハリーに攻撃しようとするベラトリックスを制する。

「こいつは、闇の帝王のものだ」

リリーと、ジェームズの、子。
ダンブルドアが最後まで気に掛け、信用していた。
強い意志を持った、彼と彼女の子。

傷つけたくない。
追ってくるな。
追ってきたら、戦わねばならなくなる。
そんな目で私を見るな。
リリーと同じ色をした目で、私を見るな。
ジェームズと同じ姿で、私に近付くな。
追ってくるな。
ジェームズの姿で、私を責めるな。
リリーの目で、私を見るな。
傷つけたくない。
彼は。
お願いだから追ってくるな。

堕ちてゆく。
まるで巧妙な罠でも仕掛けられていたかのように。
堕ちてゆく。
私はあの時、ナルシッサの中にリリーを見ていた。
「母」の「愛情」の強さを、見ていた。
堕ちてゆく。
からめとられるように、
望んでいるかのように。
裏切っているのか、
信じられているのか
敬愛していた人を殺し、
愛情故に生徒を守り、
過去の憧れの幻影を見て。

責めるような目。
同じなのだ。

これは 報いか。
闇の魔法に傾倒した罪の。
闇の魔法を研究した罪の。
両方を裏切って、裏切り続けている、私への。
報いだ。



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